大学教育の質的転換が語られる時代

『京都精華大学教育後援会ニュース』No.23, 2002年3月

多くの人に知られているように、日本の大学をめぐる状況は急激に変わりつつあります。国立大学の整理統合も現実のこととなってきました。私立大学にも併合の動きが見られます。大学だけではなく教育そのものが大きな転換期をむかえているのだと思います。私たちの京都精華大学は、これまで全力をあげて、この状況に備えてきました。15年前の風光館(芸術実習棟)や流渓館(研究室棟)、五年前の情報館や黎明館の施設計画も、13年前の人文学部設置、そして二年前の環境社会学科とマンガ学科の新設も、足下からの教学の充実のためであると同時に、大きな転換期がやってくることを見越しての備えでもあったのです。

これまでの充実のための努力は、授業や学生生活についての学生諸君の満足度に反映されていると確信しています。学内の調査によっても、学外からの調査によっても、その満足度は全国のトップランクにあります。たとえば『大学徹底比較マルチバンク2001』(ベネッセコーポレーション)によれば、「もう一度入り直せても今の大学に行きたい大学」では西日本で一位、全国で五位という評価を受けています。まだまだ充分とは言えないまでも、急変期をむかえるのに、何とか間にあったというのが私の実感です。この大学を選択してくれた学生諸君と、家計のなかから学費を工面していただいた多数の方々の支援があったからこそです。心からの感謝を表したいと思います。

考えることの自由が保証され、学生がマスとして扱われるのでなく一人ひとりの人間として尊重される、という根本を維持しながら、いよいよ転換期の嵐のなかに入っていく京都精華大学には、さらに力を尽くし、敏速かつ適確に果たさねばならない課題があることは言うまでもありません。その第一は、変化する時代に向かいあえるよう学部・学科そしてカリキュラムを再編していくことです。まず2002年度中は、人文学科を社会メディア学科と文化表現学科に再編成するための準備に全力をあげる所存です。どうか教育後援会の皆さんの変わらぬ支援をお願いいたします。