中尾ハジメ「環境ジャーナリズム」2002:シラバス

授業概要(前期)

講義目的
環境問題についてのジャーナリズムがこれまでどのように存在してきたか、を検討する。また、一方でジャーナリズムとは何かについて社会理論的な位置づけを試みる。他方で、ジャーナリズムと他の言論表現ジャンルとの差異をどのように論ずることができるかを考えたい。
授業内容・授業計画
この前期の環境ジャーナリズムIでは、環境問題を人間社会の問題としてとらえる立場から、過去から現在までの文芸作品、評論、報道などの、いくつかの典型例について、それぞれの背景をとらえ、また個々の作家、ジャーナリストあるいは論者の社会的・政治的立場がいかなるものであったかを検討する。
  1. ジョン・ハーシー『ヒロシマ』──原爆をめぐるジャーナリズム 1
  2. 重松静馬『重松日記』と井伏鱒二『黒い雨』── 原爆をめぐるジャーナリズム 2
  3. 長崎の証言の会──原爆をめぐるジャーナリズム 3
  4. リチャード・ローズ『原爆から水爆へ』──原爆をめぐるジャーナリズム 4
  5. ジャーナリズムとは何か 1──科学と事実
  6. ジャーナリズムとは何か 2──事実と虚構
  7. ジャーナリズムとは何か 3──主張と宣伝
  8. ジャーナリストとは誰か 1──専門家と素人
  9. ジャーナリストとは誰か 2──イプセン『民衆の敵』をめぐって
  10. 足尾鉱毒事件 1──荒畑寒村『谷中村滅亡史』から
  11. 足尾鉱毒事件 2──立松和平『毒──風聞・田中正造』まで
  12. 石牟礼道子『苦海浄土』を読む 1
  13. 石牟礼道子『苦海浄土』を読む 2
  14. 宇井純『公害原論』を読む 1
  15. 宇井純『公害原論』を読む 2
評価方法・評価基準
期間中に数回提出することになるレポートで評価する。
受講生に対する要望
多くの参考資料を読むという授業時間外の作業に手抜きをしないこと。