手紙

親愛なるヘンドリー委員長殿

私は、合衆国原子力規制委員会が、スリー・マイル・アイランド地域住民の数百人による下記のような体験の報告を十分に検討することを、どう見ても拒否したとしか思えず、どううけとったらいいのかまったく当惑している。住民は、主として1979年の3月28日から31日まで、そしてその後の時期につぎのことを経験している。

  1. 口のなかに感じた金属性の味
  2. 空気中の、金属あるいはヨウ素の臭い
  3. 眼の炎症と、うるみ
  4. 軽度あるいは重度の、呼吸器系の炎症
  5. 胃腸機能障害および下痢
  6. 女性における月経サイクルの変調
  7. 皮膚炎(放射線火傷とみなされるものも含む)
  8. 関節におこった鋭い異常痛

合衆国衛生局およびペンシルバニア州衛生局は現在共同で、TMI地域住民について、むこう25年間におけるTMIからの放射能放出が健康におよぼす影響をもれなく記録するため、その医療歴を制作している。これはもちろん好ましいことであり、また、なされるべきことである。しかし、事故当初に考えられていたよりもより高い水準の放射線被曝をうけたことを直接的に疑わせるこういった事実を、なぜNRCはまったく取りあげないのか?

NRCはTMI事故について、そのすべてを詳細にわたって追及確認する任務にある。貴委員会はさらに、各原子力発電所ちかくの公衆にたいする低レベル放射線の影響についてさえ、もれおとしなく、すべて把握している責任がある。TMI地域の住民からの前記の報告のあとづけをおこたることは、TMI周辺の人びとについてはいうにおよばず、各原子力発電所ちかくに住む何千万人もにたいする貴委員会のもっとも重要な責任が果たされていないことにほかならず、暗たんたる思いがする。

したがって私は、貴委員会が、可能なかぎりのあらゆる専門知識を動員してTMI事故に関連しているこれらの身体疾患の原因を確定することを、また、その原因ならびに、住民が被曝あるいは汚染した放射線レベルについて完全かつ正確な情報を公開することを要望する。(後略)敬具

州下院議員 スティーブン・リード

 ヘンドリー委員長にかわって原子炉規制部長ハロルド・デントンのかいた一通の返書があるが、その内容は、当方はそのような身体疾患の報告は関知しないし、NRCならびに合衆国衛生教育厚生省と環境保護局の技術スタッフからなる被曝評価特別委員会によれば50マイル以内で死ぬのはせいぜい1人だし、NRCの医療コンサルタント、マービン・ゴールドマン博士はその程度の被曝量で(a)から(h)までの疾患はおきるはずはないといってます、というようなものだ。(筆者)